学校法人大手前学園大手前大学様

STUDY FOR LIFEをスローガンに生涯にわたって学べる場を提供する

1964年より半世紀以上の歴史を持つ大手前大学は、「STUDY FOR LIFE」(生涯にわたる、人生のための学び)を建学の精神に掲げ、リベラルアーツ型教育を実践しておられます。建学の精神を具現化するために、2010年から大手前大学通信教育部を設立。インターネットを活用した教育を積極的に取り入れ、時間や場所の制約を受けない教育を展開し、様々な学びのニーズに応えておられます。

西尾様
「大手前大学は、比較的早い段階から全学的なeラーニングを導入し、eラーニング学習だけで単位が取れる「フルeラーニング」授業を実施してきました。教室での授業を撮影するのではなく、インストラクショナルデザインに基づいた授業設計を行い、学生達は専用スタジオで収録したeラーニング専用の動画教材で学習し課題を提出する、という流れです。現在も遠隔授業の新しい可能性を追求しています。」

従来の通信大学やeラーニングの概念にとどまらず、E-Lectureを導入して新たな遠隔教育を実現しようとされている大手前大学様の取り組みについて、大手前学園情報メディアセンターの西尾信大課長にお話を伺いました。

導入目的・課題・効果

さくら夙川キャンパス

導入目的

  • タイムリーな話題を含む講義を時間・手間をかけずに配信する
  • 日本語教員養成の科目をインターネットを用いた通信大学で実現する

課題(導入前)

  • スタジオ収録型では教材の内容を年々刷新することが難しい
  • 全国に点在する日本語教員養成課程の学生に対して、どのように授業を提供するか

効果(導入後)

  • ライブ授業により最新情報を教育内容に取り込めるようになった
  • 通信大学でありながら、チャット機能等を通して孤独を感じずに仲間とともに学ぶことが体感できている

半年かけて制作した教材の内容が180度ひっくり返ることも…

大手前大学様はかなり早い段階からeラーニングに着手されていました。

西尾様
「これまでの大手前大学のeラーニング授業は、スタジオ収録をした動画コンテンツをオンデマンド視聴するという学習方法でした。学習効果を高めるために授業設計段階からインストラクショナルデザインの手法を取り入れ、教材開発には担当教員と専門の制作スタッフの協働で取り組むこともあり、制作期間は数ヵ月かかります。そのため、一度作ったコンテンツは簡単に作り直すことができず、数年は使い続けることになります。」

そのような指導方法だけでは弊害が発生したこともあったそうです。

西尾様
「2011年4月に開講した環境問題を取り扱う授業は、2010年度中に設計や動画収録を済ませ、『もうすぐ開講』というタイミングで東日本大震災が発生しました。『地球温暖化防止のためには原子力発電所が有効』と説明していた教材は、震災以降そのままでは使うことができなくなりました。」

オンデマンド教材を、時間をかけてじっくりと作ることが不向きな分野・科目があるということですね。

E-Lectureは課題を解決する能力を備えたシステムだった

そこで、新しい情報をタイムリーに教えられる方法として、オンデマンド動画だけではなくライブ授業の配信を検討されたのですね。

西尾様
「語学や文学、心理学など教育内容にあまり経年変化がない科目は問題ありませんが、環境問題や情報系など、日々内容が新しくなる分野では、数年スパンでもコンテンツの『鮮度』は非常に重要です。そこで、最新情報を必要に応じて取り入れられるライブ配信の導入を考えました。」

ただ、eラーニングに造詣の深い大手前大学様の要件を満たすライブ配信システムはなかなか見つからなかったそうです。

西尾様
「いくつかのライブ配信システムを試しましたが、操作が面倒で教職員の負担が大きいものや、システムの安定性に大きな不安があるものなど、なかなかこちらの要望に応えられるシステムには出会えませんでした。」

西尾様
「そのような状況でE-Lectureを実際に試したところ、学習塾が開発したシステムということもあってパソコン操作に不慣れな教員でも使えそうなシンプルな操作感や通信の安定性は魅力でした。そしてなによりE-Lectureスタッフのサポートが丁寧で、初めてのライブ配信や大規模配信の際は、不慮の事態に備えて立ち合いまでしていただきました。そのような手厚いサポートも導入の決め手になりました。」

E-Lectureを導入して通信教育の世界が変わる

ライブ講義を配信できるようになって大手前大学様では通信大学の新しい世界が見えてきています。

西尾様
「従来の通信大学は「家で独りでがんばる」というイメージでしたが、ライブ授業では他の学生の存在を意識しながら学ぶことができ、「遠く離れていても一緒にがんばる仲間がいる」と感じられることが、学習へのモチベーションにつながっています。

西尾様
「大手前大学では日本語教員養成課程があり、学生が先生役になって模擬授業(ロールプレイング)をする演習があります。これまではスクーリング形式で、時間や場所の制約がある中で取り組まざるを得なかったのですが、現在はE-Lectureを用いて遠隔で実施しています。E-Lectureなら学生でも先生役になれるので、今後は学生同士で時間を調整して模擬授業を実施し、担当教員は収録された動画を後からチェックする、ということもできそうです。」

手軽にライブ講義を配信できるだけでなく、編集の手間なくオンデマンド講義として公開できるのもE-Lectureの特長のひとつです。

西尾様
「従来のスタジオ収録とは全く異なる形になりますが、時間や手間をかけずに動画収録ができることは、大きな可能性を秘めていると考えています。学生のプレゼンテーションを収録し、学びの可視化やピアレビューもできると考えています。」

西尾様
「E-Lectureは本来webカメラを用いて手軽に講義配信するものですが、大手前大学ではこれまでの映像制作ノウハウを活用し、リッチコンテンツを目指しています。通常のHDカメラやビデオスイッチャをシステムアップし、教員のアップ、板書、パソコン画面を随時切り替え、ひとつの番組のような配信も始めました。これにより、教員が手本を実演している手元のアップや、パソコン操作の動画、教室全体の様子など、マルチな視点をリアルタイムに配信できます。通信大学でありながら、臨場感のある講義を双方向ライブ配信することも目指しています。」

次世代の教育は個人の情報発信から

大学におけるeラーニングを牽引してきた大手前大学様だからこそ見える、教育の次のステージがあります。

西尾様
「誰もが配信者になれる今では、個人が趣味で配信している動画が実は大変有意義であったりもします。もう教員とか学生という垣根は取り払われていくのではないでしょうか。学びたい人は『わかりやすい』とか『ここでしか聴けない』という講義に価値を見い出しますから、それがプロの講義でもアマチュアの講義でも構わないと思うのです。小学生が皆に向けて自分が調べたことを授業するというスタイルがあっても面白いですね。」

その中でE-Lectureの果たす役割は小さくないと西尾様はおっしゃいます。

西尾様
「自分が持っている知識や技術を動画で発信することは、世界のどこかの誰かの役に立つ可能性があります。多くの人が自分のできることをE-Lectureで発信するようになれば、そこに無限の学びが生まれるに違いありません。E-Lectureはそんな可能性を持ったシステムであると考えています。」

大手前大学様が目指される次世代の教育に、大いに注目が集まりそうです。

導入法人情報

学校法人大手前学園大手前大学
〒662-8252 兵庫県西宮市御茶家所町6-42
0798-34-6331
www.otemae.ac.jp

沿革
  • 1946年 大手前文化学院を創立
  • 1966年 大手前女子大学を開学
  • 2000年 共学化
  • 2010年 通信教育部を設置

資料(PDF)をダウンロードする

※このページに記載の内容は、2018年6月現在の情報です。